暁に消え逝く星
「レシア――」
握っていた剣が落ちる。
アウレシアの身体を抱き寄せ、溺れる者がするように、しがみついた。
「グレン、大丈夫だよ」
抱きしめ返してくれる腕を感じる。
身体の震えは止まらない。
自分ではどうにもならない衝動に、ますますアウレシアをきつく抱きしめる。
横から、ソイエライアの声がかかる。
「レシア、周りを見てくる。一時間で戻る。その間にグレンを宥めとけ」
「わかった。ありがと、ソイエ」
ざっ、と茂みをかき分ける音がしてソイエライアの気配が遠ざかる。
「グレ――」
言いかけたアウレシアの唇を、己のそれで塞ぐ。
舌を絡めると、すぐに応えてくれるその感触に、何度も求める。
くちづけたまま、二人は動いた。
アウレシアの背が、木の幹にぶつかる。
しかし、そこでアウレシアは体勢を変えて、イルグレンの背を幹に押し付けた。
そのまま、ずるずると下がって座り込むイルグレンの脚の上に跨る。
「レシア?」
「今日は、あたしが上だよ」
そうして、覆いかぶさるようにイルグレンの唇を塞いだ。
一瞬戸惑ったが、目の前の温かく柔らかい肌の感触に、熱に浮かされたようにイルグレンは夢中になった。