暁に消え逝く星
ソイエライアの気配が近づいてくる。
茂みをかき分ける音が大きく聞こえるのは、わざとだろう。
その頃には、身支度をすでに済ませていたイルグレンとアウレシアは、立ち上がり、そちらへと向かう。
「ソイエ。どうだった?」
「大分遠くまで行ってみたが誰もいない。今日のところはこいつらだけらしいな。戻るぞ」
そこで、イルグレンがソイエライアの腕を掴む。
「どうした、グレン?」
「ソイエ、その――ありがとう」
礼を言われて、ソイエライアはふっとやわらかく笑った。
先程のように優しく頭を撫でられる。
ソイエライアには、子ども扱いされても不思議と腹は立たなかった。
「落ち着いたな。もう平気そうだ」
「ああ。次は――大丈夫だ」
「初めて人を殺した夜は、俺も動揺した」
「ソイエもか?」
「ああ。お前よりもっとひどかったかもな。泣き喚いてみっともなかった」
ソイエライアの慰めが、イルグレンの心に素直に届いた。
「だが、自分の気持ちには、結局、自分で折り合いをつけるんだ」
「皆、そうしているのか」
「ああ」
「わかった、私もそうする」
素直なイルグレンに、ソイエライアは笑った。
「上出来だ」