暁に消え逝く星
「刺客の剣の型は東のものではなく西のものだと思われます」
最後の言葉に、ソルファレスが顔色を変える。
エギルディウスを振り仰いだ。
「エギル様、西からとは――」
「ファレス、それが重要なのではない。今のところは」
護衛隊長の言を、エギルディウスが短く遮った。
そうして、皇子に向き直る。
「刺客が来たのなら、今後は旅を急がねばなりません。サマルウェアまで、あと一月を切りました。剣の稽古はもうおやめください」
イルグレンは驚いた。
「なぜだ?」
「ここから先は、サマルウェアに着くまで、大人しく馬車で過ごしてもらいたいのです。退屈しのぎはもう十分でございましょう?」
「なんだと――」
イルグレンの顔色が変わった。
さすがに、アウレシアとソイエライア、アルライカも表情を険しくした。
退屈しのぎに、皇子が剣の稽古をしていたのではないことを、三人は十分に知っていたからだ。
だが、エギルディウスはさらに言を継ぐ。
「お命がかかっているのです。渡り戦士達も無用な危険を被りました。馬車の中にいてくだされば、無用な危険もございません。貴方様をお守りすることに専念できます」
「――」