暁に消え逝く星

 正論だった。
 エギルディウスはいつも、その状況に合わせて最善を選ぶ。
 今日は、運がよかっただけだ。
 もし、敵が今日の二倍だったら、自分は勿論、ソイエライアもアウレシアも死んでいたかもしれないのだ。
 渡り戦士達と合流する前の退屈な旅に戻れば、少なくとも命の危険は格段に低くなる。
「――」
 イルグレンは、アウレシアを見た。
 もの言いたげな眼差しが自分を見ている。
 以前の自分なら、引き下がっただろう。
 だが、今回は引き下がれない。
 また、籠の中の鳥のように閉じ込められるのはたくさんだった。

「ならば、私から提案がある」

 強い言葉が、皇子の口から出た。


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