暁に消え逝く星
悔しげなイルグレンに、
「グレン、そうぼやくな」
いつのまに稽古を終えたのか、アルライカとソイエライアが近くに来ていた。
「ぼやきたくもなる! ギルスの相手が終わったのなら、私の相手もしてくれ!」
立ち上がるイルグレンを、アルライカとソイエライアが苦笑しつつ止める。
「待て待て。今日は無理だ」
「なぜだ?」
「これから偵察だ。ちょっと馬をとばして様子を見てくる」
それを聞いて、イルグレンはあからさまにがっかりした顔をした。
「そうか……今日はもう駄目なのか」
肩を落とすイルグレンに、アルライカが声をかける。
「一緒に行くか?」
「いいのか!?」
ぱっと表情が変わる。
代わりに、アウレシアの表情が曇る。
「ちょっと、ライカ。いいのかよ。ソイエも」
「まあ、偵察ならいいんじゃないのか? ライカと一緒なら大丈夫だろ」
珍しくもソイエライアが甘い。
「ケイがなんていうかなあ」
「内緒で行くさ。馬をとばせばすぐだし、帰りも早い」
「二人だけなんて、さすがに駄目だよ。どうしてもってんならあたしかソイエがついてかなきゃ」
「じゃあ、俺とレシアとグレンで行くか。俺とソイエが抜けたら、さすがに駄目だな。ケイにすぐばれる。ソイエは皇子の身代わりについててもらわんと。まさか、刺客も皇子本人が偵察に出るとは思わんだろ」
「ああ、ギルス達身代わりも大分らしくなってきたからな。俺もそばにいりゃ遠目からならごまかせる」
「この一週間、さすがに可哀想だったからな」
「息抜きさせてやるよ」