暁に消え逝く星
だが、少し開けた場所に出たところで、アルライカが突然止まった。
「――ライカ?」
「大勢の気配がする」
短い言葉に、アウレシアとイルグレンも周囲の様子がちがうことに気づいた。
鳥のさえずりが、すでに聞こえない。
「あっちも気づいてる。待ち伏せされたか」
小さく舌打ちして、アルライカは剣を抜いた。
下草を踏みしめる音が近づいてくる。
アウレシアとイルグレンも間隔を取り、剣を抜いた。
「前より多い。倍はいるね」
「最初の仲間が殺られたから、学習したか。まあ、無駄だろうがな」
それまでののんびりした気配は消え失せ、その場の雰囲気ががらりと変わった。
痛いほどの緊張感がイルグレンの剣を持つ手を震わせた。
大きく息を吸って、吐いた。
ソイエライアの言葉を思い出す。
自分の気持ちには、自分で折合をつけるのだ。
そう思ったら、幾分気は楽になる。
アルライカとアウレシアもいてくれる。
人数が多かろうとも敵ではない。
「グレン、囲まれるな。人数が多いときは、止まっていると不利だ。動いて確実に倒していけよ」
「わかった」