暁に消え逝く星
森の中での戦闘が始まった。
だが、やはり人数が多くても彼らの敵ではなかった。
アルライカは途中、倒した刺客から剣を奪い、二振りを器用に扱って見る間に敵を片づけていく。
その速度たるや、凄まじいものだった。
イルグレンが一人を片づける間に三人を倒すのが遠目に見えた。
剣をかわす間も与えない。
これが、本物の戦士なのだと、イルグレンは感心しながら目の前の刺客を倒す。
アルライカの戦いぶりは、いつ見ても見惚れてしまう。
イルグレンは気づいていなかった。
アルライカには及ばずとも、彼自身も流れるように美しい所作で、目の前の敵を倒しているということに。
三人であっても、危なげなく刺客を片づけ、最後の刺客をアルライカが斬った。
「レシア、グレン。怪我はないか」
振り返るアルライカに、
「あるわけないだろ」
「大丈夫だ」
二人が答える。
アルライカはその場から動かず、足元に倒れている刺客を足で仰向けに転がした。
まだ死んではいなかった。
わざととどめは刺さなかったのだ。
アルライカが膝を着き、顔を覆う布を剥ぐと、血の気の失せた中年の男の顔が現れる。