暁に消え逝く星

「私の罪なんだ。
 私に流れる血――これが、私の罪なんだ。
 この十七年ずっと、私は罪を犯しながら生きてきたんだ。
 私は盲いていた。
 罪を罪とさえ思わなかった。
 傲慢で、愚かな人間だったんだ」

 腕が震えて、これ以上支えられない。
 イルグレンは顔を上げた。
 女の顔を、まっすぐに見据えた。
 今は、青ざめた無表情の中にも驚きが感じられる。
 先程までの女神のような無慈悲な顔ではない。
 唯一の家族を奪われ、復讐だけを頼りにここまで来た、憐れな女の顔だった。

「すまなかった。
 私はあなたの弟を殺した。
 罪もない、たくさんの人間を殺して生きていたんだ。
 愚かしい人間だったんだ。
 すまなかった――」

 肘が震えに耐えきれずに地についた。

「すまなかった――すまなかった。
 あなたは私を、許さなくてもいい」

 地面に額を擦りつけて、イルグレンは何度も何度も謝罪の言葉を繰り返した。



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