暁に消え逝く星
否、違う。
国を追われるように出たあの日、自分はとうに全てを失くしていたのだ。
この身以外の、何もかもを。
守るべきものを、守らなかった。
自分達だけを守り固めた皇宮の外で飢えて死んでいく弱い憐れな者達を守ってやらなかった。
何をおいても庇護するべきだったのに。
上に君臨するものが、その義務を怠ったのだ。
それは、万死に値する罪であろう。
皇国の崩壊は、必然であったのだ。
どうして、上に立つものほど、愚かなのだろう。
愚かであるからこそ、君臨し続けることを望むのか。
それとも、知らなかったと、みな口々に言うのだろうか。
知っていたのなら、なんとかしただろうと。
だが、無知であることは罪だ。
何も知ろうとせず、理解しようと努めないことは、確かに罪悪なのだ。
戻れない。
もう、何も知らなかった、幸せで愚かな自分には戻れない。