暁に消え逝く星
こんなにも真摯に愛を告げられたことなど、あっただろうか。
こんなにも激しく己を求められたことなど、あっただろうか。
「――あたしはあんたのために何も捨ててやらなかったのに。あげられるものなんて、何もないのに」
「私は、お前に私のために何かを捨てろといいにきたのではないのだ。お前を縛ろうなどと思っているわけでもない。お前が自分のために何も捨てぬように、私は私のために全てを捨ててきただけだ」
その言葉は、こともなげに、心さえ惑わせる。
愛おしげに自分を見下ろすイルグレンに、アウレシアは更に問う。
「じゃあ、あんたはあたしにしてほしいことは何にもないってのかい」
問われたイルグレンは、少し考えるように首を傾げ――
それから、得心したように笑って両腕を広げた。
「そうだな――ただ、今のところはお前を抱きしめて、くちづけしたいのだが」