暁に消え逝く星
あんぐりと、アウレシアは口を開けた。
「――」
アウレシアとしては、皇子の鼻っ柱を思いっきりへし折ってやって、捨て台詞を決め、憂さを晴らして、それで終わるはずだった。
事実、彼女の中では、皇子との一件はすでに終わった出来事だった。
まさかその捨て台詞を真に受けて、剣を片手にやってくる皇子様が実際にいるとは思わなかったのだ。
「――レシア。こりゃ、気の済むまで相手してやるしかなさそうだぜ」
「何寝言言ってんだよ、ライカ。昨日でもう、あたしの気は済んだよ」
すかさずアルライカの突込みが入る。
「馬鹿、お前じゃねえ、皇子様のだよ」
「さあ、私も内緒で出てきたので、のんびりしている時間はないのだ。
まさか、戦わずに負けを認めるのではないだろうな。それは許さんぞ」
「――」
何と言い返すか迷うアウレシアに、
「俺達は片づけをしといてやるから、相手をしてやるんだな」
言いながら、ソイエライアはその場の片づけをはじめる。
リュケイネイアスは、いつの間にか姿を消している。
助けを求めるようにアルライカを見るが、肩を竦めてソイエライアの手伝いを始めるのを見ると、どうやら、皇子の相手をしてやるしかないらしい。
アウレシアは頭を抱えた。
「何だって、こんなことに……」
「そりゃ、今度は皇子様のじゃなく、お前の失言のせいさ」