暁に消え逝く星
だが、終わりは訪れた。
ほんの一瞬の隙だった。
イルグレンの剣を払ったアウレシアの足が、小石を踏みつけて揺らいだ。
その一瞬を、イルグレンは見逃さなかった。
一気に間合いをつめ、力任せに、アウレシアの剣を、今度は自分から払った。
「――」
払った剣はアウレシアの剣を跳ね飛ばし、その勢いでもつれ込んで一緒に体勢が崩れた。
仰向けに倒れるアウレシアに刺さらぬよう咄嗟に地面に剣を突き立てる。
剣を持っていないほうの手と両膝を突いて身体を支え、剣ごと倒れこむのは免れたが、仰向けに倒れた彼女の首筋のすぐ脇の地面にイルグレンの剣が刺さったので、動きを封じるような形になった。
イルグレンは肩で息をしながらアウレシアを見下ろしていた。
少しでも時宜を誤れば、彼女を傷つけていたかもしれなかった。
そのことにぞっとした。
「――」
紙一重の幸運に感謝して、言葉をかけようとしたその時。
「あたしの負けだ」
大きく息をついてアウレシアは言った。