暁に消え逝く星
「まあいいか。じゃ、好きに見てなよ」
アウレシアは小さな皮袋に入った液体を手に振りかけてこすり合わせると、手近な布巾で手を拭き、ライカの横にある仕上げ用の香味野菜を手際よくナイフで刻んでいく。
「――」
イルグレンは今度はその手際のよさに感心して、アウレシアの手許を食い入るように見つめていた。
「終わったよ、ライカ。入れるかい?」
「おう、いいぜ」
薄い石板にのった香味野菜を、アウレシアがナイフで煮だった鍋の中にすべり落とす。
アルライカは玉杓子でそれをゆっくりかき回すと、片手に皮手袋をはめ、鍋の持ち手をつかんで火からおろす。
「ソイエ、いいぞ」
「ああ。こっちも焼くだけだ。先に用意してろ」
ソイエライアは先ほどの鍋がおいてあった石のかまどの上に油をひいた平たい鉄鍋を置いて、薄くのばしたパン生地を焼きはじめる。
平らな生地がふつふつと膨らんでくる。
香ばしい匂いが漂う。
ソイエライアが、器用に端をつかんでひっくり返していくと、狐色の焼き色が鮮やかに食欲をそそる。
「グレン、こっちにおいで。食事の用意ができたよ」
「――あ、ああ」