暁に消え逝く星
「――これからは、飯時はあたしらと一緒にいな。同じものを食べれば、毒見なんて必要ないよ」
「いいのか?」
「駄目なら言うわけないだろ」
イルグレンは嬉しそうに笑った。
「では、私にも作らせてくれ。今日お前達が作るところを見ていたが、とても楽しそうだった。私もやってみたい」
これには、アウレシアは眉根を寄せた。
「皇子様が飯作んのかよ……」
「いいじゃねえか、皇子様に飯作ってもらうなんて一生のうちにあるかないかだ」
スープを飲み干して、アルライカは千切ったパンで器の内側を拭い、口に入れる。
「俺らが何でもできる皇子様に育ててやるよ」
「面白がってるだろ、ライカ」
「当ったり前だろ」
にやにやしているアルライカを見ても、イルグレンは一向に気にした風もない。
「面白いなら何よりだ。私も面白い」
アウレシアはソイエライアに目で助けを求めるが、ソイエライアは肩を竦めただけで、反対しない。
「ほら、こう言ってんじゃんか。俺らも楽しい、グレンも楽しい。ならいいじゃねえか。
よぉし、明日から早速仕込んでやるぜ。覚悟しな」