暁に消え逝く星
「ケイ、遅かったじゃん。先に食ってたよ」
「ああ。ちょっとエギル様と話し合ってた。まだ残ってるんだろうな」
戻ってきたリュケイネイアスは先ほどまでイルグレンが座っていた敷物の上に腰を下ろす。
すでに皇子は食事が終わる頃に慌てて迎えに来たウルファンナと身代わりの護衛とともに馬車へと戻っていた。
「おう、明日の朝食分まで作っといたからばっちりだぜ。明日からは皇子様も食わせることにしたけど、いいよな」
アルライカからスープを、ソイエライアからパンを受け取りながら、リュケイネイアスは眉根を寄せた。
「――なんでそんなことになってる」
言いながら、スープを器から直に啜る。
「言いだしたのはレシアだぜ。まあ、なんかいろいろ可哀相な皇子様だからよ、飯ぐらい食わせてやってもいいんじゃないかと思ってよ」
アルライカは夕食でのいきさつを簡単に話した。
「いいだろ、ケイ。どうせ一人増えたぐらいで食い扶ちは変わらないんだし。あったかい飯食べさせてやりたいんだよ」
アウレシアは先ほどのイルグレンの表情を思い出し、何だか切なくなってきた。
贅沢な暮らしに慣れた、育ちのよい天然お馬鹿皇子だと思っていたが、全然そうではなかったのだ。
最初のあの言葉を誤解しなければ、すぐにわかったはずだった。
いつだって、あの皇子は素直な心しか見せていなかったのだから。