暁に消え逝く星


 誰かが皇子の命を狙っている。

 ぞっとした。
 今日、イルグレンが勝たなければ。
 自分が食事に誘わなければ。
 毒見をしていなければ。
 銀を使っていなければ。
 ほんの少しのことで、一つの命が消えていたのかもしれないのだ。
「エギル様と話し合ったんだが、馬車には今まで通り皇子の身代わりを立てる。昼はレシアが傍にいるからいい。ソイエ、夜はお前が馬車に入ってくれ。皇子の身代わりになれるのは、俺達の中では髪の色が同じなお前だけだ。ライカはここで皇子につけ」
「了解」
「ああ」
「決して目を離すな。死なせちまったら終わりだ。なんとしてでも、あの皇子様は無事にサマルウェアに連れて行かなきゃならん」


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