暁に消え逝く星
毛布から顔を出すと、冷たい風とともになけなしの熱が逃げていく。
見上げる男は、いっそう大きく見える体に毛布を肩からかけて立っていた。
「ここでいいわ」
クナに寄れという言葉は聞こえたが、正直、動物の近くで寝たことのない女は、クナが怖かった。
これ以上近づいて寝るなど、膝を折って休んだ状態のクナでも嫌だった。
「凍えて死ぬぞ。クナは大人しいから、くっついて暖をとれ」
重ねて言われ、女は渋々起き上がり従う。
長い首が丸まって前足近くに顔があるので、女は後ろ足のほうに近づき、静かに後ろ足に寄り添うように横になった。
男は、その様子を黙ってみていたが、大きく息をつくと、大股で女へと近づいた。
女の体を毛布ごと軽々と引き寄せると、クナの脇腹に押し付けるように自分の体の間に入れる。
驚いて身じろぐ毛布に包まれた女の体が、さらに男の体と毛布に包まれ、それ以上の動きを封じられる。
「大人しくこのまま寝ろ。俺が寒いんだ」
男は女を潰さぬようクナの背に頭を預け、目を閉じる。