暁に消え逝く星

 背後からの低い声に、アウレシアとアルライカが同時に固まる。
 伸びてきた手がアルライカの頬を抓り上げた。
「この口か。そんな恩知らずなことを言う口は?」
「いで、で、で、わるがっだ、もういいばぜんがら」
 金髪に青い瞳で、戦士にしては少し学者めいた風貌のソイエライアは鋭い一瞥をアルライカにくれてから、 
「レシア、ライカは今回の報酬はいらんらしい。その分をお前と俺とケイで山分けするか」
 無慈悲に言い放つ。
「だー、待て待て待てぃ、怪しげな仕事なのに変わりはないだろうが。誰もやらないとは言ってないのに、報酬なしとは洒落にならん。相棒になんつう仕打ちを」
 慌てるアルライカにも、一切動じない。
「俺の選んだ仕事にケチをつける相棒ならそれこそいらん。文句を言える立場なのか、お前が。お前の作った借金の返済に付き合っている慈悲深い俺様に文句があるなら、俺の目を見て言ってみろ」
「う――それを言われると…」

「ちょっとちょっと、話がそれまくってる。そんなことより、仕事のことだよ」

 いつまでもおわらなそうな会話を断ち切り、アウレシアは二人の間に割って入る。
「ソイエ、いいのかい? 今回の、結構やばくない?」
「そうなる可能性は、なきにしもあらずだ。皇子が生きてるとなれば大事だからな。ここまでばれずにたどり着いた事こそ奇跡だな。ばれてるなら、追っ手がかかるかもしれん」
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