暁に消え逝く星

「おいおい、ケイはわかってんだよね」
「もちろん。ケイの方が乗り気だ。ちょうどサマルウェアの港に北の船が着くって情報が入ったからな。レドルからのいい鉄剣が出回るはずだって。ほら、前の仕事の時、ケイの剣に欠けが入っただろう? やっぱり気になるらしい。送り届けて、ついでに新しい剣も調達できりゃ一石二鳥だろうが」
 大きく息をついて、アウレシアはそれ以上追求するのをあきらめた。
 リュケイネイアスとソイエライアが納得して請けると決めたのだから、こちらとしては文句は言えない。
 だが、どうも一抹の不安を拭い去れないのは気のせいか。
「さあ、ライカ、レシア、行くぞ。ケイの馬が依頼主を連れてくる」
「いよいよかい。皇子様とのご対面は」
「俺達下々の者の前になんか出てくるかよ。皇族だろ」
「はは、それもそうか」
 東のほうには、先ほどまで小さな点だったものが、大きな影となっていた。
 馬車と馬を駆る姿がようやくこちらから目視できるほどになっていた。
 あらかた片付け終わった野営地をあとにして、三人は馬に乗り、リュケイネイアスのもとへと向かった。


< 8 / 251 >

この作品をシェア

pagetop