暁に消え逝く星
きつい眼差しが男を見据えたが、抗う素振りは意外にもなかった。
「勝手にするがいいわ。あんただろうが他の男だろうが、あたしには違いはないもの。そこらのならず者と同じようにふるまうといい」
意外そうに、男が問うた。
「今欲しいと言っても?」
「好きにすればいい」
男はそっと女をすぐ横の寝台に横たえた。
見下ろした美しい顔は旅の疲れか、少しやつれて見えた。
しかし、男をそそるにはそのぐらいの風情があったほうがいい。
商売女とは明らかに違う、たおやかで儚げな風情が。
だが、じっと相手を見据えるその瞳には、生きようとする強い光がなかった。
心さえないように、女は黙ったままだった。
そんな自分を見据えたまま動かない男に、女は問う。
「抱かないの?」
どうでもいいことのように女は尋ねた。
「その気が失せた」
男は女の上から身を起こすと、寝台の上に広がる美しい長い髪を指に絡めた。