妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
序章



私の目の前には勢いよく燃え盛る火…



沢山の大人達が慌ただしく私を通り過ぎて行く。



―…呆然と立ち尽くす私を嘲笑うかの様に火は留まる事なく私の幸せを奪っていく。




どうする事もできず…

言葉も出てこず

ただ、ただ火を見つめた。



そして、ふと自分の頬に水滴が流れた。




―…雨?


空を見上げるが雨は降っていなく真っ黒な夜空に星が遠慮気味に輝いてた。





―ああ、そうか。
この水滴は私の涙か…。



そう気付いた時には涙が止まらなくて周りがぼやけていた。


それでも炎の赤色は私の目に印象付け消える事はない。



だから私は目を瞑る。

何も見なかったら辛さが減るから。


私は耳を塞いだ。

炎の音や聞きたくない声が聞こえるから。



私はしゃがみ込み自分の身を守る。


私は逃げる。

この現実という名の地獄から…




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