妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
私は歩きながら腕時計を確認してみた…
「…良かった。遅刻ぎりぎりにはならなさそう」
いつもの時間通りで一安心した私は腕を下ろし、前を向いた。
―…今、いる場所が昨日瑰竜と会った所だと思い出したが今日はその姿はない。
なんだ…。と溜め息を密かにつきながら歩みを止めないでいた私に…
「…あ~。喉が渇いた」
横から誰かの声が耳に届いた。
ちらと横を盗み見みると 和服を着崩した男が大きな石の上で胡座をかいているのがうかがえた。
あの独り言は私に言っているの?
一人悩む私……
私の鞄の中には丁度ペットボトルの水が入っている。
しかし相手は見知らぬ男
…そして和服姿。もしかしたら、もしかするの?
彼は………―