妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
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瑰竜に連れられやって来たのは林の中の奥にひっそりと建つ古いお屋敷。
頑丈そうな大きい門をくぐると広い庭があり、石で囲まれた池には鯉が優雅に泳いでいた。
「こんな大きなお屋敷があるなんて知らなかった。」
「当たり前じゃ!ここは人間に見つからないように魄弥( ハクビ )が結界を はっているからな。」
「―…魄弥?」
「この屋敷の主と言えば良いかのう…。」
顎に手をあて言う瑰竜。
こんな凄い屋敷の主って言うくらいだから威圧感のある強い人なのかな。
あっ…。妖怪か……。
そんな事をぐだぐだ考える私の手を瑰竜はまたも引っ張り屋敷の中へ入ろうとしていた。
「わわッ!!!ちょっと待ってよ!?まだ心の準備が…」
「何を言っておる。緊張するほどの奴ではないんじゃから安心せぇ」
「それは瑰竜だけなんじゃ…。」