妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
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―あれから1週間が経ち 今日は7月の7日。
世に言う七夕の日だ。
私はまだあの屋敷に行っていない。
別に瑰竜に会いたくないとかじゃない。どちらかというと魄弥に…というか……―
嫌いな訳じゃないのだが 全て見透かされている錯覚に陥ってしまう彼の鋭い瞳が怖いのだ。
「彩花ちゃん。今日は…行くのよね?」
「はい。」
「本当に一人で平気?」
紗代さんは先程からしつこい位に聞いてきている。
そこに和宏さんが…
「彩花ちゃんも高校生なんだから心配しなくても大丈夫だろ。」
呆れたように言っていた。
―今日はお父さんとお母さんのもとへ行く。
正確には墓なのだが…
距離もそんなに離れていない。電車一本のって行くだけだ。
それだけなのだが
「心配するのは当たり前でしょ。彩花ちゃんがもし事故かなにかに巻き込まれたら…」
「大丈夫です」