妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
それに…
『―……か。』
私には聞こえなかったあの呟きは『あやか』と言っているようにも感じた。
やはり、もう一度魄弥に会うべきなのだろうか…
そうやって悩んでいる間にも今まで何度も聞いてきた駅のアナウンスが流れ電車は駅に止まり私は 降りた。
今はこの事を考えるのはよそう…。
いつか会いに行く決意ができるだろう。
だから今は………―
結局、逃げてしまおうとする私は卑怯な人間なのだろうか…
私は瑰竜や魄弥が怖い。
これ以上関わってしまえば傷つけられるのではないか…
一人でいる事が慣れている私が誰かの傍にいる事に慣れてしまえば
その誰かが私から離れてしまった時、私は立ち直れないかもしれない。
二度と…
私の胸の中にはお父さんとお母さんがいる。
もうそれだけで良いとも思えている自分もいた。