妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~


「会いたい。どんな形でも良い。もう一度、もう一度…―会いたい。」


墓石に刻まれた文字に触れながらそう強く、小さく呟いた。





「「彩花…。」」


「…えッ?」


突如聞こえた懐かしい声に驚き勢いよく振り向くとそこに…―





「お父さん…お母さん」



幻かと思った…。

それか目の錯覚。


願い過ぎて脳が可笑しくなって勝手に…都合よく見せているんじゃないか



でも何度瞬きしようとお父さんとお母さんは私に温かい笑顔を向けている


「嘘。なんで…ッ」


願い続けてきた事。嬉しいはずなのに…

涙が次から次へと流れ落ちる。



視界が滲むがそんなの関係なしに立ち上がり両親の元へ駆け寄ろうと足を動かす。



やっと。やっとだ…
私はこれで幸せになれる。

誰にも邪魔されずに家族3人で幸せに暮らせるんだ。





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