妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
もう苦しまずに済む。
もう私から誰も離れていかない。
独りじゃなくなるんだ。
段々と足取りも速く、軽くなる。
8年前のこの日と同じ笑顔でお父さんとお母さんは私に向けて手を差しのべる。
その手を握りかえしたい。
そして一緒に天国へ連れていって…
二人の元まで近づいていき手を握りかえした。
その瞬間…
光輝いていたものがどす黒くなっていき二人の姿がひび割れていき…。
あっという間にお父さんとお母さんの面影はなくなり醜い妖へと変幻していた。
「キ、キャーーッ!!!」
気付いた私は必死に捕まれた手を振りほどこうと抵抗するがどんどんと腕が妖の中に吸い込まれていく。
焦りジタバタ暴れるが体力が奪われていくだけ…
辺りはどんよりと曇り空 、心なしか空気も薄いように感じる。