妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~
乱れる呼吸。霞む視界。
私以外の人の気配はなく 助けてくれる人は誰もいない。だけど助けを求めるしかない私。
「誰かッ!!!お願いっ助けて…」
そうこうしている内に妖は私ごと呑み込もうとしていて…
―私は誰にも知られずこうして醜い妖に食べられ 死んでいくの?
私は最後まで苦しまなきゃいけないの…
あと少しで私の体、全てが呑み込まれそうな時。
―――――…『アヤカ』
またあの声が聞こえた。
優しい声。
辺りには忘れていた祭り独特の太鼓と笛の音
靄がかかって顔が見れない男の子。
―…ああ。もう私は死ぬんだ。天国にも地獄にも行けず私は闇の中をさ迷うのだろう…。
でも最後に優しい声が聞けただけでも良かった。
目の前が闇に覆われ目を閉じかけていた…