妖怪のアイツと人間の私 ~夏空に想いを~




「…ふぅー。」


なんとか間に合った。


緑が多いと言っても夏である今は少し歩いただけでも汗ばむ。



私が流れる汗を拭いながら教室に入ると同時にチャイムが鳴り担任の先生が教卓に立った。



私の席は端っこの一番後ろの席というベスポジだ。



「おー?箭野村がチャイムぎりぎりに来るなんて珍しいな…」


いそいそと教室のドアから席に向う私に担任…
野本先生が話しかけた。


「あ…はい。」



あんまり皆の前で話しかけないでほしいな。


皆、私の方見ちゃってるし……


私は視線を避けるように俯き席に座る。





―――――…


野本先生の話が終わり一時限目の準備をする。



クラスの皆は友達同士喋ったり遊んだりしているが私には友達という存在はいない。


今の家に住み始めたのは今年の春からだし、友達がいないから何か不具合がある訳じゃないし…





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