さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
誠の武士
誠
1964年、五月。
ここに来て、二度目の春を迎えた。
「桜ももう散っちゃったねえ・・・。」
「そうですね。あんなに綺麗に咲いていたのに。」
桃色に色づいていた桜は、今は茶色と緑と折り混じった姿をしている。
「屯所に戻りましょう、沖田さん。」
にっこりと、微笑んでくれる。
沖田さんの病がわかってから、4ヶ月が過ぎた。
丞も研究を進めてはいるものの、完全に手詰まりなようす。
私はというもの、沖田さんの傍にいる時間が増えて、丞との約束を遂行している。
至って目立った病の進行もなく、内心ホッとしている、けど・・・
「ごほっ!」
「大丈夫ですか!?」
慌てて駆け寄る。
以前のように激しく咽せることはないにしても、単発で出る咳が多くなった。
病から来るものなのかどうかは、わからないけれど。
「何でもないよ。ただの咳。あずは心配し過ぎ。」
微笑んで、髪をわしゃわしゃと撫でてくれた。
温かい、大きな手。
ここに温もりがあることがとてつもなく嬉しい。