さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―




「一緒に行こうか。」





にっこり、笑う。




「はい!」




いつもよりも声が高くなってしまった自分を、気持ち悪いなと思う。




でも、嬉しかった。





沖田さんが誰でもなく私に笑いかけてくれたことが、とてつもなく。





ゆるゆると上がる頬を抑えられない。




もう、こんなに一人でにやにやしてたら、頭がおかしくなったと思われてしまう。






「裏山に行くの、何年ぶりかな。」





「い、今まで何度か行ったことあるんですか?」






日が落ちた闇のなかにいるせいかな?






妙に、照れくさい。





月明かりに照らされて、いつもよりもずっと妖艶に見える。




髪をおろしているせいか、どこかしら大人っぽいし。





もう、どうしよう。




格好良い。





カメラがあるなら、収めておきたいほど。





それくらい今日の沖田さんは綺麗だった。



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