さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―


「素敵だと思います。」




思わずそんな言葉が漏れた。




純粋にそう思う。




誠忠を掲げ、志を貫くために戦う姿は、真の武士そのもの。






「今じゃ武士のなり損ないも増えたからね。あんなの武士とは言えない。」





沖田さんがそう言うと、部屋に嘲笑うかのような乾いた笑いが広がった。





「どういうことですか?」  




だって、よくわからない。




なり損ないの武士って、みんながみんな新選組のような武士じゃないのかしら。





「死ぬ覚悟も出来てないのに刀を握るやつとか、君主を裏切って我先にと逃げるやつとか・・・ね。」





その言葉に圧倒される。




新選組で言えば、君主は近藤さん。




それを裏切って逃げる人がいるなど、とても思えない。





「そういう奴らが増えてるってことだよ。ま、そんな奴は俺が全部斬っちゃうけどね。」





笑っているけれど、目が怖い。





沖田さんならやりかねないな、と思って思わず苦笑してしまう。
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