さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
な、ななななななに!?
茂みがガサガサと動いている。
早速出たの、おばけちゃん!
瞬間的に原田さんの腕にしがみつく。
「大丈夫、野犬かなんかだろ。」
野犬。
なあんだ、野犬か。
って・・・
「野犬も十分恐いですよ!」
「なんで?」
なんでって。
だって、私の曾お爺ちゃんの足には、野犬に噛みつかれた生々しい傷痕が残っていた。
しかも、相当な深手。
「野犬にかみ殺されたらどうするの?」
恐る恐る尋ねる。
「ははっ!そんな心配はいらねえよ。俺はちゃんと武器を常備してるしな。」
ポンポンと腰に据えてある刀を叩く。
そっか。
この世界では、常識が違う。
野犬なんて、最早なんの障害にもならないんだ。