さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
気づいた時には、原田さんの手を振り払っていた。
触れられた瞬間、どうしようもなく嫌と思った。
「あ、の、えっと…」
どうしよう、言葉が見つからない。
「…ごめんな?」
俯いた私に降ってきたのは、原田さんの優しい声。
――――どうして?
原田さんは何も悪くないのに。
切なさに満ちた表情は、儚かった。
少し触れたら、消えてしまいそうなほど。
「…行こう。」
再び足を進める。
今度は、距離を置いて。
原田さんは怒ってもいない。
悲しんでもいない。
ただ、苦しさに。
苦しさに押しつぶされそうになっているのが、目に見えて分かる。
ごめんなさい。
どうしても、受け止められなかった。
優しく触れた感触も、もう沖田さんしか駄目なの。
原田さんだって、そうなんでしょう?
まささん、ひとりだけ。