さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
前兆
翼 side
「そろそろ、動き出す頃かな…」
以前、自身でまとめた年表に視線を走らせる。
文久4年、元治元年。
つまり1864年、6月5日。
あと2週間と迫った今日くらいには、突き止めているはずだ。
古川 俊太郎を。
池田屋事件の主要人物となる、あの男を。
「池田屋事件、か…」
まさかこの肌で、その全貌を体験することになるなんて、考えたこともなかった。
歴史好きの俺にとっては、運が良いと捉えられるのか、悪いと捉えられるのか。
きっと、後者だろうけど。
そう考えて、思わず苦笑する。