さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
ふと思いついて、一番上の段の引出しを開く。
中には、携帯電話。
あずに電話をしようと思ったわけじゃない。
ただの気まぐれ。
「…は?」
ディスプレイの電池残量を見て、眉を顰める。
どういうことか、ここに来た日から残量が減っていない。
それどころか、増えている。
表示は100%。
まさか、そんなことはありえない。
「どうかしました?」
「…うおっ!?」
慌てて携帯を着物の懐に入れる。
「甲子太郎さん、せめて声を掛けてくださいよ。」
俺の言葉に、にんまりと口角を上げる。