さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
俺の言葉に、そう、と表情を緩ませた。
それを見て疑われてはいない、と察する。
「今日は平助くんがこちらに見えるんだけど、翼くんも来る?」
「いいんですか!?」
思わず声を張りあげてしまう。
藤堂 平助。
甲子太郎が新選組に加入するにあたって、仲介役となった人物。
甲子太郎と藤堂は共に、伊東道場から出た同門だったから。
多分、年齢も俺と大した変わらないだろう。
友達になれるかな、なんて幼稚な考えだと思うけれど、湧き上がる好奇心が抑えられない。
“新選組”
あんなにも憧れていた歴史の一ページが、今ここにある。
沖田 総司は別として、藤堂 平助か。
サイン貰っていいかな…。
嫌でも口元がニヤついてしまう。