さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
ふと、ある文章を思い出す。
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ
「栄華は長くはつづかない。栄えていてもいずれお落ちてゆく、か…。」
この時代にぴったりだと思う。
平氏が没落していく様を表したらしいけど、これはまるで劇的変動を繰り返す幕末の為に作られたもの。
「平家物語の冒頭?」
さすが、優れた書見を持つ人物というべきか。
「そうです。俺が好きな物語。」
人間の強さと弱さを同時に記した物語。
初めて平家物語の和約を読んだのは小学生の頃だったけれど、大きな衝撃を受けたのを覚えている。