さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
平行線
日に日に気温が高くなっている気がする。
ここに来て、二度目の夏を向かえようとしていたある日。
「…明日、古川の捕獲を決行する。」
しんと静まり返った大部屋に、土方さんの冷たく冷え切った声が響く。
今日は6月4日。
つまり、明日は6月5日。
言わずと知れた新選組の代名詞、池田屋事件が起こったのは紛れもなく明日の日付。
「計画についてはさっき話した通りだ。」
私を除く全員が一斉に頷く。
今日は調査に出ていた烝と島田さんの顔も並んでいて、新選組主要人物は全員集合している。
それほど重大な話し合いってこと。
1864年、6月5日、池田屋事件、か…。
内心、気が重い。
幕末…新選組が大好きだった翼にしつこく聞かされたから、明日のことについてはなんとなく知っている。
この事件による栄華も、その背景で消えて逝った人たちのことも。
だからこそ、あまり関わりたくなかった。
今回は身を引こう、そう思ったのに…