さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
捕獲
ふと、こんなことを思いだす。
試合の朝は、空気が澄んでいた。
やけに心が穏やかで、世界がまったく違って見えた。
それは、今日のこの緊張感に似ていると思う。
「ここで間違いないです。」
烝に島田さん、土方さん、沖田さん、山南さん、そして私。
6人の前に立ちはだかる小さな枡屋。
古高 俊太郎の居地。
ここまで来たんだ、と思うと心拍数が増していく。
「うむ、ご苦労だった。山崎・島田は伝令役として此処に待機していろ。」
「はっ。」
淡々と土方さんの指示が行きわたる。
「おい、お前ら準備はいいか?」
「ちょっと、土方さん。まさか4人で乗り込もうっていうんじゃないよね?山崎くんたちも置いていくなんて聞いてないよ。」