さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
笑って勇気づけてくれる沖田さんに、私も微笑み返す。
その言葉をそのまま返すように。
「ここに居るのは古高 俊太郎とお見受けられた!いざ、その身を頂戴する!」
土方さんの声が、枡屋のなかに響く。
ついに始まった。
「お、お前らは新選組かっ!おのれ、武士の成り損ない集団め!!」
一人のちょんまげ頭が発狂する。
武士の成り損ない?
随分と馬鹿げたことを言うのね、と思って嘲笑う。
私だってもう新選組の一員。
新選組が馬鹿にされているのに、平常心でいられる筈がない。
「その口、今に利けなくしてあげるよ。」
沖田さんの普段よりワントーン低い声が耳に入る。
気持ちはみんな同じみたい。
土方さんも山南さんも背中しか見えないけれど、殺気がはっきりと見える。