さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―



刀がぶつかり合う音が頭の中に響く。





どうしてだろう、この音を聞くと自然と冷静になっていく。





相手の動きがスローモーションに見えて、何を考えているか手にとるように分かる。






「…ごめん。」





「…ガハッ…」




私に向かって倒れこんでくるのを、ひょいと交わす。




一撃、そう思って刀をはらう。





鍛錬の成果か、以前よりも刀が軽く感じる。




べっとりと付いた血は、どうしても気を重くするけれど。





「く…くそッ…」





「貴方は、どうする?」





もう一人の藩士に矛先を向ける。





君主の為に闘う程の志が、この藩士にはあるのかしら?





逃げるというのなら、嘲笑ってやろうと思った。





< 136 / 186 >

この作品をシェア

pagetop