さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―



「見逃してくれ、と、申したらどうするのだ!?」





なるほど、と思う。




同時に哀れだなと。





沖田さんが言っていた言葉。




武士の成り損ないが増えていると。





“死ぬ覚悟も出来てないのに刀を握るやつとか、君主を裏切って我先にと逃げるやつとか・・・ね。”





まさに、こういう人のことを言うんだろう。





「…愚かね。」





片方の口角だけを上げて、ふっと笑う。





「うわああああ!!」





ぱっくりと開いた傷口から内臓が飛び出る。




失敗した、と思う。




でも、この人にはこのくらいが調度いいのかもしれない。





「…生まれ変わったら、もっと幸せな時代に。」





二つの死体に向かって手を合わせる。





「お見事。」




背後からそんな声が掛かる。





「…沖田さんも。」





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