さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「ありがとうございます。」
二人に頭を下げて、蔵の中に入る。
ぐったりと力無く、ただ頑なに口を閉ざしている古高の前で足を止める。
この人は、さっきの藩士とは違う。
生半端な武士とは違う。
新政府に、確かな忠誠を誓っている。
古高の中に燃える赤を、じっと見つめる。
「…本物だわ。」
私が言葉を落とすと、今まで閉じていた瞼をかっと開いた。
「…池田屋を、知っている?」
この事件の名前は、池田屋事件。
私は詳しい歴史を知らないから、回りくどく聞くことは出来ない。
唯一知っているワードから、深いところに入り込む。
何としてでも、本位を。