さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「池田屋、知っている筈よ。」
「な…なぜそれを…」
食付いた、と思ってゆるゆると頬を上げる。
これで、確信は得た。
ここで、終わりじゃない。
外はまだ正午。
6月5日は、まだ終わらない。
古高捕獲自体は、池田屋事件と呼ぶには呆気なさすぎる。
池田屋事件も、ここから始まるんだ。
「お前は、知っているのか?」
「…ええ。」
何を?とは聞かない。
本当は、私が知るよしもないのだけれど。
「本意を知られているのであれば、何も隠すものはない。聞きたいことはなんだ?今の俺にはもう、守るものなどない。」
だから、なんでも教えてやると。