さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「篠原くん、池田屋に出入りしているみたいで…」
「何だって!?」
池田屋?
あそこは、長州藩士が使っているところ。
そんなところに旧幕府軍の者が出入りするなんて、考えられない。
まさか、寝返った?
いや、篠原に限ってそんなことはないはずだ。
「ここに来た時からもずっと、誰かと連絡を取っているようだったわ。でも、親族だろうと思って目に賭けずにいたのが、失敗だったかしら。」
まさか…。
スパイだったって事か?
「俺、追いかけます。」
それだけ言い残して、篠原の言った道を追いかける。
誤解を解いてやらないと。