さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「楓殿っ!」
篠原が池田屋に姿を隠したと同時に、そんな声が聞こえる。
楓?
篠原のことを呼んでいるのだろうか。
篠原 楓。
これが篠原の本名?
「おい。」
「!?」
「お前、伊東さんのとこの奴やな?こんな所でこそこそと、何しとんねん。」
特徴的な関西弁。
黒い衣装に身を包んで、二人で隠れるようにして行動している。
山崎と、島田か。
池田屋の様子を見に来たのだろう。
「何しとんのか、聞いとるんや。」
山崎は不屈そうに顔を歪めた。
俺を長州の仲間だと思ってるんだろうか。
疑うような目が、俺を見定めている。