さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「別に、何でもないですよ。」
篠原を追ってきたとは言えない。
いくら敵ではないといえ、こちらの事情を話すわけにはいかない。
「知り合いですか?」
「だ、誰のことだよ。」
「楓と呼ばれた青年のことです。」
ぎくり、肩が上がる。
「古高が助太刀を呼んでいるから、と言っていたのが気になって此処まで追ってきました。それで見つけたのが、あの青年です。」
島田さんが淡々と状況を説明していく。
だけど、信じられない。
助太刀って、何?
そんな歴史、知らない。
「しょうがない。一旦引き返すで。」
「分かりました。」
二人はすっと立ち上がってこちらに振り返った。
その瞳の強さに圧倒される。
「あの青年には関わらない方がええ。美しい華には棘があんねん。」