さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
美しい華には。
容易く分かった、とは言えなかった。
二人の背中が見えなくなるまでじっと見つめて、腰を持ち上げた。
これ以上見張っていても時間の無駄だ。
辺りはもう、オレンジ色の世界が広がっている。
ここはこれから、赤の世界へと展開する。
池田屋事件を見届けたいと思ったけれど、なによりも命が大切だ。
戻ろう、と思って一歩足を踏み出す。
篠原のこと、伊東さんには言わない。
歴史に歪みがあるのなら、俺がそれを修正しないと。