さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
戦闘
「やはり、本命は池田屋か…」
亥の刻―――22時を過ぎ、捜索の末に私たち近藤隊は、池田屋で謀議中の尊攘派志士を発見した。
「山崎、所司代・奉行所の出動は?」
「いえ、まだのようです。」
沖田さんはちっと舌打ちをして、地面を軽く蹴った。
それと共に舞い上がる砂埃が、サアーッと私を掠める。
会津藩は一体何をしているのだろうか。
予定だと、そろそろ援護に来てもおかしくない時間なんだけれど。
「…やむを得ん。突入するぞ。」
「近藤さん!?まさか…土方さん達も待たずに行くというのですか!?」
思わず土方さんの浅葱色の羽織の袖を掴む。
この人数じゃ無謀よ、と思って。
「事態は一刻を争うんだ。」
確かに、そうだけれど。
優しく宥められて何も言えなくなる。
歴史だと、どうだったかしら。
ここで人手を待つか、決死の思いで突入するのか。